top of page
林 正太郎
Shotaro Hayashi
有機合成と測定技術を駆使して
反応性・機能性有機材料を探る!
当研究室では「π」に興味を持ち、様々な研究を行っています。
Self-assembly ! Fluorescence !
フレキシブルな有機結晶材料の創生
エラスティック結晶の開発とその”光・半導デバイス”への展開
Flexible (Elastic) Organic Crystals based on π-Conjugated Molecules
稠密な異方性素材である有機結晶は脆く、柔軟性がない。一方、繊維や高分子素材は有機結晶と真逆の性質を持つ。このように、分子集合体の"稠密性"と"柔軟性"はトレードオフの関係にある。最近、我々はこの常識を覆す、稠密性・異方性・柔軟性に優れるエラスティック結晶というべき新素材の開発に成功した。
この結晶はπ共役系分子から構成することで、光ガイド、導電性素子といったこれまでに実現が難しいとされていた柔軟性と高性能を両立する素材である。
Ex. Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 2701.
Chem. Eur. J. 2018, 24, 8507.
Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 17002.
直接的アリール化重縮合による π 共役系高分子合成
Direct Arylation Synthesis of π-Conjugated Polymers
脱水素を利用したPd触媒クロスカップリング(直接的アリール化)はC-H結合開裂を介する反応であるため,有機金属試薬なしでC-C結合を形成できる.これを利用した直接的アリール化重縮合(DArP)は,有機金属モノマーを使用せずにπ共役系高分子が合成できるため,鈴木やスティレといった従来法と比べ①モノマーコスト、②原子利用効率、③高分子精製の観点から利点が多い.しかし,従来法のように反応の選択性や効率を向上させる脱離基がないことによる高分子量化と副反応(低位置選択性)の抑制が問題であった.
我々は「ヘテロールモノマーの反応性(C-H活性化)」と「高分子効果(固相場と高分子間の相互作用)」の関係性に着目し,立体的に嵩高い固相触媒場を設計することで,位置選択性が向上(副反応が抑制)され,直鎖状高分子が得られることを見出した.また,この触媒条件検討において,塩化物イオンが反応性を劇的に向上することを発見し,短時間で高分子量のπ共役系高分子が得られることを見出した.これを発展させ,塩化物イオン型固相Pd触媒場を開発し,高選択的かつ高反応で高分子が得られる重縮合系を開発した.また,フルオロアレーンの反応性を向上させる条件を検証し,モノマーの反応性を上げることで,直鎖状高分子のみならず分岐状高分子や網目状高分子の合成が行えるようになった.網目状高分子はモノマー構造に起因してμポーラス構造や発光及びセンサー特性を制御することができた.
Ex. Polym. Chem. 2015, 6, 881.
Polym. Chem. 2015, 6, 5036.
ChemPlusChem 2016, 81, 930.
Sci. Rep. 2017, 7, 1078.
ルイスペア形成による物性チューニング
Tuning of π-Conjugated Molecules via Lewis Pair Formation
π共役系分子にルイス塩基性部位(例えばピリジル)が含まれると、酸(proton)の添加により強いアクセプター性を発現し、色調変化などを引き起こします。ここで、「ブレンステッド酸ではなくルイス酸を使用する」という単純なアイディアで検証を行いました。特にトリフルオロホウ素はルイス塩基ユニットに対する効率的なルイスペア形成を可能にし、劇的に物性のチューニングが行えます。
Ex. Polym. Chem. 2011, 2, 2764.
JPSA 2014, 52, 3142.
気まぐれな分子設計に基づいた共役系発光色素の開発
Designing π-Conjugated Molecules for New Fluoropheore
分子を設計し、紙に描くのは有機化学研究者の楽しみとも言えます。気まぐれに思いついた分子が新規構造であれば、合成したくなり、合成できたら測定したくなります。ふとした思いつきで、他研究者が欲しいと思える分子の開発ができたり、欲を言えば「新しい研究領域」が開拓できればベストだと思います。
これまでに、自己集合により赤色発光を誘起する高分子や世界最小単純構造からなるドナーアクセプター発光性分子など、個人的に面白く、今後の展開が期待できるシンプルな機能性分子を報告しています。
Ex. Chem. Lett. 2018, 47, 1003.
Chem. Asian. J. 2018, 13, 2014.
ChemPlusChem 2019, 84, 247.
研究支援を目的とした有機エレクトロケミストリー
Electro-organic chemistry for Assistance
共同研究募集中!
電気化学に強い興味があるわけではありません。しかし、ElectroFluorinationで名を馳せた「淵上寿雄名誉教授@東京工業大学」で博士課程を過ごした手前、技術の維持を目的とした実験的研究を展開しています。以下の技術においてアイディアを募集し、共同研究を行っています。
・サイクリックボルタンメトリー(低分子または高分子)
・新規モノマーの電解重合
・低分子(溶液中)と高分子(薄膜)のエレクトロクロミズム
Ex. Sci. Rep. 2017, 7, 1078.
ChemElectroChem 2018, 5, 3357.
bottom of page